登山口の廃村に
往時のままに花は咲く

田中澄江『花の百名山』で有名に【霊仙山 1084m】

高槻勤労者山岳会/大阪 三鍋 敏郎


登山口の廃村に
往時のままに花は咲く

田中澄江『花の百名山』で有名に【霊仙山 1084m】

高槻勤労者山岳会/大阪 三鍋 敏郎

 霊仙山山頂は風が強い。高所から広々とした笹の海の広がる風景を眺める。眼下には琵琶湖が広がり、北に伊吹山、南には鈴鹿山系の山々の蒼い重なりが見える。

 霊仙にある今畑登山口から登る。道路から坂道を登り、しばらく行くと廃村の今畑集落に着く。今畑集落の入り口には湧き水を満々と湛えた水舟がある。随分以前からこの地を何度か訪れるが、涸れた水舟を見たことがない。おそらく当時は集落の主婦たちの、井戸端会議の中心として、にぎやかな場所だったのだろう。集落の空き地には福寿草が広範囲に咲いている。咲き始めた梅の花と相まって空虚な寒村をいっそう寂しくさせている。

 集落を越え、自然林の道になるとミスミソウが花を咲かせている。標高600mあたりから道は平坦になり、歩きやすい。しかし残雪の多い年には随分苦労させられる北斜面である。笹峠周辺は伐採地で展望が開け三国岳の向こうに鈴ケ岳、御池岳や藤原岳が見える。峠から胸突き八丁の急斜面となり標高差200mほど攀じ登る。北斜面の潅木に霧氷が見られる。

 急坂を登りきるとほぼ水平な道になるが、カレンフェルト(石灰石が雨水や地下水で浸食され、岩柱が林立している地形)が林立する南霊岳周辺の尾根は歩きにくい。比較的日当たりの良い斜面に金色の福寿草が輝いている。開いたばかりの金杯のような花が無数にある。道のわかりにくい笹地を越え、最高点から霊仙山に向かう。

 下山は経塚山をパスしてショートカットでお虎ケ池に出る。お猿石からの下りは泥濘の斜面。体も心もクタクタになって近江見晴らし台。汗拭き峠から、大洞谷に下り、落合に向かう。

 情報・アドバイス

参考タイム 今畑登山口>50分>笹峠>60分>近江展望台>50分>最高点>10分>山頂>20分>お虎ケ池>70分>汗拭き峠>20分>落合>10分>今畑登山口
交通 名神高速道路 彦根ICで下車、国道306号線を南下し、久徳で地方道17号線で落合に向かう。落合手前の霊仙山への登山道の表示あり。民家はなく、倉庫風の建物が川沿いにある。
問合せ 米原市役所商工観光課0749-58-2227 榑ケ畑登山道の汗拭き峠から落合(多賀方面)の通行可否については観光課に問い合わせること。
アドバイス 残雪の多い年にはワカンが必要、露岩などが多いのでスノーシューは不利。悪天時はホワイトアウトするので注意すること。
2万5千分の1地形図 霊仙山、彦根東部
出典 登山時報 2015年3月号

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