修験の山の伝承を懸崖から思う

三県境の山深さに慄然として

【大神ヶ岳(だいじんがたき)1177m、赤谷山(あかたにやま)1181m】

松江ハイキングクラブ/島根 松本 玲子


修験の山の伝承を懸崖から思う

三県境の山深さに慄然として
大神ヶ岳(だいじんがたき)、赤谷山(あかたにやま)

松江ハイキングクラブ/島根 松本 玲子

 島根県益田(ますだ)市匹見町(ひきみちょう)は山林面積が90%を占める山間部で、その中でもさらに県境寄りに位置し、紙祖(かみそ)地区の三坂八郎(みさかはちろう)林道沿いに登山口がある。

 スギとヒノキの植林帯から始まり、平岩、潜り岩など巨岩が現れる。雑木林が広がるとも「岩の山」が真の姿だ。樹木と岩が整然と居並ぶことなく押し合いへし合い、まるで人間の居場所ではないようだ。

 岩間に神社が祀られている。一つは三坂大明神といい、山伏が修業をした修験の山として祀られている。もう一つは山葵天狗社(やまあおいてんぐやしろ)といい、山葵つまり特産のワサビの豊作祈願のためのもので、いずれも毎年6月に例祭が行われている。祭りで奉納される「三葛神楽(みかずらかぐら)」は県指定文化財で、一見をお勧めしたい。

 三坂大明神の祠(ほこら)が背にしているのが、大神ヶ岳山頂部の巨岩で、高さはゆうに50mはありそうだ。その左側に回り稜線に出て、分岐を右に進めば、見上げた巨岩の頭頂部に立てる。南面の展望は、西中国山地の高山が集中している島根、山口、広島三県境であり、山の名を呼べば応えてくれそうだ。その素晴らしさは、分岐を左に、西へ延びる赤谷山へ移動しても変わらない。

 二等三角点のある山頂は、展望がないので折り返し、南寄りのピークで休憩するのがいい。足下は切り立ち、山と谷しか見えない。人里離れすぎた感で空恐ろしくなるが。

 稜線は広葉樹と天然杉の一群で、樹下は一様にササに覆われている。樹齢数百年のスギと白い幹のブナやナラが稜線を織りなし、清々しいことこの上ない。立岩は、そんな稜線の森から突き出しており、懸崖の威容を現している。

稜線から三県境を望む

 情報・アドバイス

参考タイム 今畑登山口>50分>笹峠>60分>近江展望台>50分>最高点>10分>山頂>20分>お虎ケ池>70分>汗拭き峠>20分>落合>10分>今畑登山口
交通 名神高速道路 彦根ICで下車、国道306号線を南下し、久徳で地方道17号線で落合に向かう。落合手前の霊仙山への登山道の表示あり。民家はなく、倉庫風の建物が川沿いにある。
問合せ 米原市役所商工観光課0749-58-2227 榑ケ畑登山道の汗拭き峠から落合(多賀方面)の通行可否については観光課に問い合わせること。
アドバイス 残雪の多い年にはワカンが必要、露岩などが多いのでスノーシューは不利。悪天時はホワイトアウトするので注意すること。
2万5千分の1地形図 霊仙山、彦根東部

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